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救急車をより速く走らせる方法

激しい胸痛を感じてのた打ち回る私を見ても、家族は状況を掴めなかったらしい。
「救急車を呼んでくれ!」

ドプラー効果の利いたピーポー音が聞こえるまではとても長く感じた。
救急車がマンションの前に停止した気配がありながら、3階の私の部屋には中々誰も現れない。

一刻も早く病院に行って、痛みから解放されたい、痛みの原因を知りたいと願ったが、彼らは
所謂大病院には直行しなかった。
それまでは聞いた事がない中規模の病院に私を搬入した。
いきなり総ての救急患者をそういった大病院に運ぶと容易にキャパシティーを超えてしまうのが理由らしい。

その中規模病院に対しての信頼感は無く、さらに痛みが激化する中で不安は募ったが、
所謂ナイトシフトで待機していた若い医師は迅速な動きを見せてくれた。
モルヒネ注射で痛みを和らげ、所定の検査をすませて心筋梗塞であるという診断を下した。
その段階になって、漸く所謂大病院に要請する。
その要請のやり取りは、スピーカーフォンを通じて私の耳にも入った。
最も近いと思われたN大系の2つの病院が断ってきた。
「おいおい、俺はどうなるんだよ」
結果、3番目に要請したT京が応諾してくれる。
電話の向こうにいる人が神様のように思えた。
救命救急を扱うドラマを見ていても、あの救急用のホットラインのシーンが好きだ。

しかし、T京は近くはない。
おまけに朝の渋滞の環状7号だ。
実際、緊急車両とはいえ十分な道幅が確保できず、停まってしまう始末。
「おいおい、これは救急車だろ」

胸を裂くような痛みの周期も段々短くなってきた。
「おぉおぉぉおぉおおおおぉ」痛みに耐え切れず大きな悲鳴をあげた。
するとどうだろう、渋滞の中トロトロ走っていたのに、急に気合を入れてスピードを上げた。
私がやや落ち着くと、またトロトロというか無理をしない運転に戻った。
そこで再び私が苦痛の叫びをあげると、アクセルを踏み込んだ。
いくら慣れているとは言え、運転をする人も背中から聞こえる悲痛な叫びに反応するのだろうか。

じゃあということで、ずーーーーっと「うぉおおぉおぉ、ぎゃあーぁーぁ、んんんんーん」と
暴れてみたがこれは逆効果。
向こうも慣れっこになってしまうらしい。
メリハリが大事なのだ。

救急車の中の居心地の悪いストレッチャーの上で、「自分はこのまま死ぬかもしれない」と
怯えながら、一方でこんな法則を発見してちょっと悦に入ってた。

急性心筋梗塞の場合、最初の6時間の対応で死亡率が大きく違う。
どんな手を使ってもいち早く然るべき場所に辿り着くことが肝心なのだ。
但し、問題は私が発見したこの『法則』が全国的に通用するかどうかだが・・・。



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プロフィール

makola

Author:makola
ペンをパンにかえることを夢見た青年は、電話を手にした相場師に・・・
在る時、相場師20年のストレスで心筋梗塞を発症、死の淵をさ迷う。
以来穢土を離れ厭離庵に棲む。

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